- Q. 「英和和英辞書」における音素記号の発音方法は?
- A. 英和和英辞書では各単語の発音は音素記号「Arpabet」によって表されます。Arpabetはアメリカ英語の音素をASCII文字のみで表現することを目的として開発され、主に音声合成システムで用いられています。
ここではアメリカ英語の母音のArpabetによる表記方法及びその発音方法を説明します。
▼ 単母音
Arpabet IPA 発音 説明 IY i イー 日本語のイーとほぼ同じ発音 IH ɪ イ+ェ 日本語のイにエが少し混ざった曖昧な発音 EH ɛ エ 日本語のエとほぼ同じ発音 AE æ ア+エ アとエを同時にやや長めに発音(アの口の形を横に大きく広げて発音) AH ʌ,ə ア(+ウ) 口を縦に小さく半開きにして短めにぼそっと呟く感じで発音。アクセントが付く場合はアの発音、アクセントが付かない場合はアとウの中間の曖昧な発音(曖昧母音ə)になる。 AA ɑ ア+ォ 口を縦に大きく開いて口の奥から発音。オが少し混じる AO ɔ オ+ァ 日本語のオよりもアが少し混ざる UH ʊ ウ+ォ 日本語のウよりもややオに近く曖昧に発音 UW u ウー 口をすぼめて突き出してウーと発音。日本語のワ(WA)の子音(W)の口の形のままウーと発音 ▼ 二重母音
Arpabet IPA 発音 説明 EY eɪ エ イ+ェ エイに近い発音 AY aɪ ア イ+ェ アイに近い発音 AW aʊ ア ウ+ォ アウに近い発音 OY ɔɪ オ+ァ イ+ェ オイに近い発音 OW oʊ オ ウ+ォ オウに近い発音。このオの発音は日本語のオと同じであり単母音には存在しません ▼ 注意事項
- 発音に+(プラス)記号が含まれる場合、その前後の音の両方を同時に発音することを意味します。つまり両方の音の中間的な発音になります。
- 小さいカナで表記された発音は、その音が混ざる度合いがより小さいことを意味します。例えばAA(ア+ォ)とAO(オ+ァ)ではどちらもアとオの音が含まれますが、AA(ア+ォ)がアにより近くAO(オ+ァ)がオにより近い音になります。
- 半角カナで表記された発音は、口を半開きにしてより短く発音することを意味します。
- AHは曖昧母音(ə)にもなる特殊な発音であり、口をだらしなく少し半開きにして喉の声帯を軽く鳴らした時に出る音です(子音が付かなければ舌は全く動かしません)。それがたまたまア(アクセントがある場合)またはア・ウの中間の音(アクセントが無い場合)に聞こえるというだけのことです。それら2通りの音は一般的な英和辞典では別々の発音記号(ʌ,ə)で表記されますが、両者は発声の強弱の違いでしかなく本質的には同じものである(英語の母語話者は同じ発音として認識している)ため、Arpabetではどちらも同じ表記になっています。ちなみに、このAHの音は発声が非常に楽である(口に緊張を必要としない)ため、英語ではアクセントが付かない母音で多用される傾向があります。
- 英語においてイとウの発音はそれぞれ2通りずつありますが、一方は必ず伸ばす、もう一方は必ず伸ばさないという決まりがあるため、実際のところそれらの発音を区別しなくても実用上ほぼ問題ありません。ただし歌の中に出てきた時などには両者の発音を区別できなければ間違えます。
- Arpabetは原則的にアメリカ英語の発音に基づいています。イギリス英語の発音ではAAがAOの発音になり、また語尾のERがAH(曖昧母音ə)の発音になります。
- IPA (International Phonetic Alphabet)は世界中のあらゆる言語の発音を表記できるように作られた国際音声記号です。
- 日本国内で発売されている英和辞典における発音記号は基本的にIPAが元になっていますが、正確にはIPAではなく英語学習に特化した独自の記述法が採用されている場合が多いです。例えば英語においてイやウの発音はそれぞれ2通りずつありますが、それらの発音記号を区別せずに同じ発音記号(iやu)で表し長音記号を付けるかどうかで区別している場合が多いです。
